平成28年5月発行  第475号    福祉広報   改正社福法が成立    法人改革へ17年度施行  社会福祉法人改革を柱とした社会福祉法改正案が3月31日、衆議院本会議で賛成多数で可決され、成立した。2016年度の決算で余裕財産のある社会福祉法人には、地域貢献などを盛り込んだ社会福祉充実計画の策定と実施を17年度から義務付ける。評議員会を全法人に必置の議決機関とすることも17年4月1日施行だ。  「法人の事業運営の透明化(財務諸表の公開など)」、法令違反した法人に改善勧告する権限を所轄庁に持たせるなど「行政関与の見直し」、退職手当共済制度における「障害者施設への公費助成廃止」は今年4月1日施行。  介護福祉士養成施設卒業生には17年度から国家試験の受験資格を与え(任意受験)、22年度からは受験を義務付ける。  法案は、社会福祉士及び介護福祉士法と社会福祉施設職員等退職手当共済法の改正案とセットで15年4月に国会へ提出され、7月に衆院を通過。16年の通常国会で参院が可決したが、会期をまたいだため再度、衆院に送られた。  付帯決議は衆院で10項目、参院で15項目付いた。       (週刊福祉新聞 平成28年4月4日発行 第2757号より転載)   「福祉広報」リニューアル発行のお知らせ  「福祉広報」は、昭和51年に発刊以来、皆様方に愛され、福祉に関するタイムリーな情報を発信し続けてまいりましたが、この度、購読料の無料化や発行回数の変更など、新たな「福祉広報」としてリニューアルし、発行することといたしました。引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。      社会福祉法人 大阪障害者自立支援協会      理事長 草川 大造   社会福祉法改正案参院の付帯決議  @社会福祉法人の経営組織のガバナンスを強化するには評議員、理事等の人材の確保や会計監査人の導入等、社会福祉法人にとって新たにさまざまな負担も懸念される。このため特に小規模の法人については、今後も安定した活動ができるよう、必要な支援に万事遺漏なきを期すこと。また、人材の確保が困難な地域にある法人についても必要な配慮を行うこと。さらに、社会福祉法人の適正な運営に必要な識見を有する人材を育成するため、自治体等が行う研修等の取り組みに必要な支援を行うこと  A事業運営の透明性の向上を図るため、都道府県による財務諸表等の収集、分析および活用ならびに国による全国的なデータベースの整備に当たっては、一般国民、特に利用者が社会福祉法人の経営状況を了知でき、かつ、外部評価に耐えられる内容となるよう、分かりやすい評価尺度を作成し、公表すること  Bいわゆる内部留保の一部とされる社会福祉法人が保有する純資産の額から事業の継続に必要な財産額を控除等した「社会福祉充実残額」の算出に当たっては、社会福祉法人の経営に支障を来すものとならないよう、事業の継続に必要な財産額が適切に算定されるようにすること。また、政府統計等により把握される他産業の民間企業の従業員の賃金等の水準を所轄庁から所管法人に示すよう要請することにより、「社会福祉充実残額」を保有する社会福祉法人が社会福祉充実計画を作成するに当たって、当該賃金等の水準を勘酌(しんしゃく)した上で、社会福祉事業を担う人材の適切な処遇が確保されていることを確認することの重要性の周知を徹底すること  C事業の継続に必要な財産額が確保できない、財産の積立不足が明らかな法人に対しては、必要な支援を検討すること  D地域公益活動の責務化については、待機児童、待機老人への対応等、本来の社会福祉事業を優先すべきであり、社会福祉法人の役割と福祉の公的責任の後退を招くことのないようにするとともに、社会福祉法人設立の主旨である自主性と社会福祉事業の適切な実施に支障を及ぼすような過度の負担を求めるものではないことを周知徹底すること  E社会福祉法人の所轄庁については、指導監督等の権限が都道府県から小規模な一般市にも委譲されていること、社会福祉充実計画の承認等の新たな事務が増えることから、所轄庁に対し適切な支援を行うとともに一部の地域において独自の取り扱いが散見されるとの指摘があることに鑑み、また指導監督が法定受託事務であることを踏まえ、指導監督にかかる国の基準を一層明確化することで、その標準化を図ること  F社会福祉法人の提供するサービスの質の確保に当たっては、高い能力を発揮する人材の雇用および職員全体で職務を補い合う業務体制の確立が求められることから、社会福祉法人において労働基準法、労働安全衛生法等の労働関係法令の確実な順守ならびに業務に関する規程の整備および運用がなされるよう、所要の措置を講ずること  G現下の社会福祉事業における人材確保が困難な状況に鑑み、介護人材を始めとする社会福祉事業等従事者の離職防止に資する措置を講ずるとともに、介護報酬、障害福祉報酬の改定による影響を注視しながら、職員の処遇の実態を適切に把握した上で、人材確保のための必要な措置について検討すること。また、介護人材の現状を正しく把握し、必要な人材を養成・確保するに当たっては、その量のみならず質についても適切に評価できる手法を検討すること  H社会福祉施設職員等退職手当共済制度の公費助成廃止に当たっては、職員確保の状況および本共済制度の財務状況の変化を勘案しつつ、法人経営に支障が生じないよう、障害者支援施設等の経営実態等を適切に把握した上で報酬改定を行うなど必要な措置を講ずるよう検討すること。また、公費助成の廃止の対象となった法人のうち、本共済制度から脱退した法人および新規採用者を本共済制度の対象としない法人に対し、社会福祉事業を担う人材の確保に当たって退職金が果たす役割の重要性の周知を徹底すること  I准介護福祉士の国家資格については、フィリピンとの間の経済連携協定との整合を確保する観点にも配慮して暫定的に置かれたものであることから、早急にフィリピン側と協議を行う等の対応を行うとともに、当該協議の状況も勘案し、准介護福祉士の名称、位置付けを含む制度の在り方について介護福祉士への統一化も含めた検討を速やかに行い、所要の措置を講ずること  J介護職員の社会的地位の向上のため、介護福祉士の養成施設ルートの国家試験義務付けを確実に進めるとともに、福祉サービスが多様化、高度化、複雑化していることから、介護福祉士が中核的な役割および機能を果たしていけるよう、引き続き対策を講ずること  K将来的に福祉職、介護職に就く人材を増やすべく、現在中学・高校教育における福祉、介護に関わるインターンシップの体験率が必ずしも高くない状況も勘案し、関係府省と連携して、福祉、介護に関わる基礎的理解と経験が得られるよう努めること  L介護職員の処遇については、介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律(平成26年法律第97号)等により処遇改善に関する措置が行われてきたことを踏まえ、人材確保に支障を来さぬよう処遇改善に資する措置など必要な措置を講ずるとともに、正規・非正規、フルタイム・パートタイム等にかかわらず、均等・均衡待遇を確保するよう努めること  M介護職員が抱える心的・精神的負担に対する支援については介護労働がいわゆる燃え尽き症候群を引き起こす例が見られることから、今後も必要な調査を行うことにより介護現場の実態を適切に把握した上で、産業保健等によるメンタル面からのサポートについて幅広い観点から検討を行い、施設の労働環境を評価できる仕組みの構築を含めた所要の措置を講ずること  N本法律による改正後の社会福祉士及び介護福祉士法等の一部を改正する法律付則第6条の4の規定に基づき、育児休業、介護休業に準ずる休業を厚生労働省令で定めるに当たっては、雇用は継続しているものの、やむを得ず介護の実務に就けない場合、倒産や事業の縮小・廃止等の本人の責めによらない離職の場合、疾病等により雇用されること自体が困難な場合など実務に従事できないことにやむを得ない理由があると認められる場合について、適切に配慮すること     (週刊福祉新聞 平成28年3月28日発行 第2756号より転載)   平成28年度第2回大阪府障がい者ITサポーター養成研修会受講者の募集  大阪府ITステーションでは、障がい者がITを学べる講習会講師としてのITサポーター(パソコンボランティア)を養成する研修会を実施します。 ボランティアに興味のある方や、まったくボランティアは初めてという方、ご自身のパソコンスキルを発揮したい方、手話通訳ができる方、等々のご応募をお待ちしています。 ◆応募資格  (1) 大阪府内に在住・在勤・在学等で、大阪府ITステーションのボランティアとして協力していただける方。(申し込み時点で20歳以上の方)  (2) ITを利用して障がい者の方々が、大阪府ITステーションが実施する事業を利用される際に、その支援をボランティアで活動していただける方。  (3) 障がい者の方々がITを学ばれる際に、そのサポートができるパソコンスキルを有しておられる方。  (Microsoft Word、Excel、インターネット等の操作を理解されている方。)  (4) 応募される予定の研修会において、日程すべて参加いただける方。 ◆研修会実施日程  第2回日程 平成28年6月7日(火)・9日(木)・10日(金) 13時〜17時 締切 平成28年6月1日(水)  ※各回、全日程を受講していただいた方には、「大阪府知事の修了証書」が交付されます。  ※応募者が少数の場合は、開催日程を変更する場合が有ります。 ◆研修会場 大阪府ITステーション 〒543-0074 大阪市天王寺区六万体町3-21 ◆研修内容 IT講習会の講師、サブ講師として活動するうえでのインストラクターの心構えを中心に学んで頂きます。 ◆受講料 無料 ◆申込み方法  大阪府ITステーションホームページより「大阪府障がい者ITサポーター養成研修会参加申込書」をダウンロードし、ワードファイルであれば必要事項を入力してメールで送信、PDFファイルであれば印刷して必要事項を記入しFAXまたは郵送してください。  研修会日程などについては、各回の締め切り日以降にメールにてお知らせ致します。 申込先・問い合わせ  〒543-0074 大阪市天王寺区六万体町3-21  大阪府ITステーション 就労支援室 大阪府障がい者ITサポーター養成研修会 係  TEL:06-6776-1238  FAX:06-6776-1231  E-mail:sapoken@itsapoot.jp  URL:   障害者差別なくそう   解消法施行、条例制定も相次ぐ   2013年に成立した障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法が1日、施行された。それに向け、関連した条例を制定する地方自治体が相次いでいる。  千葉県浦安市は3月17日に「障がいを理由とする差別の解消を推進する条例」を制定。  虐待防止と一体的な相談窓口「権利擁護センター」(非常勤の精神保健福祉士2人を配置)を4月1日、市役所内に設けた。  予算を伴う独自の公的助成を条例に位置付けたのは兵庫県明石市(3月18日制定)だ。点字や筆談の器具などを用意する事業者に助成する。経済的負担を減らすことで、同法の規定する合理的配慮の提供を後押しする。  12年4月に条例を施行した東京都八王子市では、今年3月29日に改正条例が成立。差別解消に向けて女性・児童に十分配慮すること、児童・生徒に障害や障害者の理解を促す教育に取り組むことなどを盛り込んだ。  これらのほか、新潟市(15年9月28日制定)と東京都国立市(同9月17日制定)でも、差別解消に関連した条例を今年4月1日に施行する。  条例は制定していないものの、差別相談センターを16年度から設けるのは名古屋市。年間3600万円の予算を計上し、近く、センターの担い手となる民間団体を公募する。地元の障害関係団体は「市の決断を高く評価する」(AJU自立の家)とし、被差別の体験を持つ障害者が運営に携わるよう同市に申し入れた。3月27日には市内で法施行を祝うパレードをした。  差別解消法は行政機関や民間事業者における障害を理由とした差別を禁止し、障害者への合理的配慮の提供を義務付けるもの(民間事業者は努力義務)。  自治体に新たな相談窓口を設けることまでは求めず、既存窓口の活用を基本とする。相談のたらい回しを防ぐため地域の関係機関で構成する協議会も「組織できる」とするにとどめた。差別した側への罰則もなく、かねて差別解消の実効性が弱いとの指摘があった。  改正障害者雇用促進法はすべての事業主に障害を理由とした採用の拒否などを禁止し、調停など紛争解決の仕組みを設けた。    (週刊福祉新聞 平成28年4月4日発行 第2757号より転載)