~「餅は餅屋」の考え方が重要!~

 理事長  西口 禎二

 皆さまこんにちは。ようやく「秋」を感じる季節になり、ホッとしていますが、今年の夏を振り返ると、熊本地震や千葉県をはじめとする各地での豪雨など、これまで経験したことがないような大規模自然災害に見舞われ、大きな被害が発生しました。改めて、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被害にあわれた方々に、心よりお見舞い申し上げます。

 熊本地震発生から1か月を迎える日に、ふと新聞に目を通すと、興味深い記事を見ることになりました。その記事とは、これまで複数回にわたり被災地の熊本を訪れた防災施策に詳しい専門家であり、令和8年度から国際障害者交流センター(ビッグ・アイ)の運営協議会委員にご就任いただいている菅野拓先生のインタビュー記事です。防災施策を考える上で大変参考になると思いますので、一部を紹介します。

 「市町村 避難所運営に忙殺」、「『見えない被災者』把握を」といった見出しで始まり、「今回の地震の課題をどう捉えているか?」との質問に、「発生翌日と約1週間後に被災地に入り感じたことは、市町村は避難所運営に人手を取られ、支援が必要な高齢者らの把握や災害廃棄物の処理などの対策が後手に回っているなど、災害発生初期の課題が2016年の熊本地震から変わっていないことへの危機感だ。」と述べています。

 「なぜ改善されないのか?」との質問には、「災害対策を実行するのは市町村だが、高齢化などでマンパワーが減っているのに業務は膨らんでいる。被災した市町村の負担を下げるという根本的な方針転換が必要だ。特に発生3日後以降は、支援物資の配送はトラック協会や物流業者、避難所運営は他県の応援職員やNPOに委ね、市町村以外が中心となって被災者支援を回していくような態勢作りを進めてほしい。」と述べています。

 また、「参考にすべき事例は?」との質問に、「医療機関での患者搬送や避難所での健康管理は、DMAT(災害派遣医療チーム)など医療や保健衛生のプロが担うようになり、スピード感が大きく改善した。『餅は餅屋』の考え方が極めて重要だ。市町村の職員には、例えば、被災地に体調を崩すリスクが高い人がどこに、どの程度いるのか、情報を集約するなど、自分たちにしかできないことを優先して取組んでもらいたい。」と述べています。

 大阪でも、甚大な被害が想定される南海トラフ地震などに備える上で、大いに参考になることではないでしょうか?いや、参考にすべきことではないでしょうか?

 昨年2月、46の障がい者団体等の協力を得て「『共生社会』の実現に向けた政策提言」を策定し、大阪府に提出しましたが、その提言の一つに「インクルーシブ防災」を掲げています。そもそも「インクルーシブ防災」とは、障がい者や高齢者を含む、あらゆる人を取り残さない防災という考え方です。2015年3月に仙台市で開催された「第3回国連防災世界会議」で「障がい者と防災」というテーマが大きく取り上げられたのがきっかけで広がったものです。

 政策提言では、特に、DWAT(災害派遣福祉チーム)の体制の充実・強化が必要であり、併せて災害ボランティアの育成にこれまで以上に力を入れる必要があると謳っています。

 これまでの大阪の福祉施策を振り返ると、行政と当事者団体などの民間とが力を合わせ一緒に作ってきたという歴史があります。この事は今後も大事にしていかなければなりません。DMATやDWATに限らず、「餅は餅屋」の考え方のもと、これまでのように行政と民間が力を合わせ、社会全体で被災者支援の態勢づくりを早急に進める必要があるのではないでしょうか?
 同じ「餅」でも、「絵に描いた餅」にならないためにも・・・・・。
                                           令和8(2026)年10月2日